旅館業簡易宿泊所
文字通り「旅館業法」に基づいて運営される宿泊施設を言います。
旅館業法においては、「施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」とされ、「宿泊」とは、
「寝具を使用して施設(ホテル、旅館業)を利用すること」とされている。
厚労省の資料によれば、旅館業にあてはまるか判断する基準として下記の4項目がある。
①宿泊料徴収の有無
②社会性の有無
③継続反復性の有無
④生活の本拠かどうかを示している
しかし、上記ではその判断をするには曖昧である。そこで、旅館業法施行令では下記を補足している。
- 客室数は10室以上であること。
- 洋室の構造施設にある客室は、次の要件を満たすものであること。
- 1客室の面積は9平方mであること
- 寝具は洋式のものであること
- 出入り口及び、窓は鍵をかけることができるものであること
- 出入り口及び、窓を除き、客室と他の客室、廊下等との堺は壁作りであること
- 和式の構造設備である客室は、次項第2号に該当するものであること
- 宿泊しようとする者との面接に適した玄関帳場、それに類する設備を有すること
- 適当な換気、採光、防湿及び排水の設備を有すること
- 宿泊者の需要を満たすことができる、適当な数の洋式浴室またはシャワーを有すること
- 宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備を有すること
- 該当設備の規模に応じた適当な規模の暖房設備があること
- 便所は水洗式であり、便座式のものがあり共同用のものにあっては男子用、女子用の区分があること
- 該当施設の設備場所が法第3条第3項各項にあげる施設(以下「第1条学校等」)の敷地の概ね100mの区域内にある場合には該当第1条の学校等から客室または客にダンスをさせ且つ、客に飲食させるホール若しくは射幸心をそそる遊戯をさせるホールその他の設備の内部を見通すことを遮ることができる設備を有すること
- その他都道府県(保健所を設置する市または特別区にあっては、市、または特別区)が条例で定める構造設備が基準に適合すること
おおよそ上記のような内容ですが、2018年6月15日に住宅宿泊事業法が改定されると共に旅館業法も一部改定されました。
1.最低客室数の廃止
- 最低客室数(ホテル営業:10室 旅館業法:5室)
2.洋室の構造設備の要件の廃止
- 洋室の構造設備の要件(寝具は洋式であること、出入口、窓に鍵をかけることができること、客室と他の客室等との堺が壁作りであること)が廃止された。
3.1客室の最低床面積の緩和
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1客室の最低床面積(ホテル営業:洋室客室9m2以上、旅館業:和式客室7m2以上)が、7m2以上となった。
(寝台を設置する客室は9m2以上)
4.玄関帳場等の基準の緩和
- 以下のAからCをいずれも満たし、宿泊者の安全や利便性の確保ができる場合には、玄関帳場を設置しなくともよくなった。
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- 事故が発生した時その他の緊急時における迅速な対応のための体制が整備されていること。
緊急時に対応できる体制については、宿泊者の緊急を要する状況に対し、その求めに応じて、通常概ね10分程度で職員等が駆けつけることができる体制を想定しているものであること。 - 営業者自らが設置したビデオカメラ等により、宿泊者の本人確認や出入りの状況の確認を常時鮮明な画像により実施すること。
- 鍵の受け渡しを適切に行うこと。
- 事故が発生した時その他の緊急時における迅速な対応のための体制が整備されていること。
5.暖房の設備基準の廃止
- ホテル営業の施設における暖房の設備要件が廃止された。
6.便所の設備基準の緩和
- 適切な数の便所があれば良いこととされた。
上記は民泊運営を意識して改定されたものであり、これにより簡易宿泊所の許可での民泊運営が可能となった。