民泊(シェアリング)市場の今
2018年6月15日の新法「宿泊住宅事業法」発足以来、民泊業界への参入を決めた大手企業がいる反面、業界からの撤退を
余儀なくされた企業や個人事業主も多く、現在この業界の市場を一言で言うにはあまりに難しい状況だ。
新法発足後、一度は急激にその数を減らした国内の民泊物件であるが現在は緩やかながらもその数は増加の一途にある。とはいえ、課題も多い。
多くのホスト、そして管理業者を悩ましている課題をあげると、おおよそ下記のようなことが考えられる。
①運営180日問題
②駆けつけの問題
③宿泊者名簿の問題
①運営180日問題
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住宅宿泊事業法では、年間の宿泊日の上限が180日とされている。つまり、一年の半分しか営業できないのである。
これに各市区町村の条例を合わせると、曜日の規制なども加わり、さらにスムーズな運営を阻んでいると言っていいだろう。
もちろん、国家戦略特区であればこうした営業日数の規定はないのであるが、国内でも大体的に国家戦略特区域となっている大阪以外では、
都内では大田区のみなど全国でも10地域とその数は少ない。
こうした条例の抜け道として、現在多くのホストが住宅宿泊事業法での届出ではなく、旅館業法としての届出に切り替えている。
しかしながら、住宅宿泊事業法に比べ許可取得のハードルが高く、駆けつけに関しては10分以内などデメリットもある。
②駆けつけの問題
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住宅宿泊事業法ではトラブル発生の際に30分以内(最大でも60分以内)で現地へ駆けつけを行わなければならない。
さらにかく市区町村の条例を合わせると、その時間は20分以内などとさらに厳しくなる。そのため多くの管理事業者は、
事業所周辺の物件(30分以内で駆けつけられる距離)の管理に止まらざる得ない状況にある。
また、管理事業者を指定する義務のない、特区民泊物件、簡易宿泊所のホストに至っては自宅(拠点)周辺で物件を探さなければならず、
不在型にも関わらずゲストが滞在する期間は拠点を離れられないのである。
③宿泊者名簿の問題
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住宅宿泊事業法では、住宅宿泊事業者は宿泊者名簿の備付けにおいて、下記の事項について行う必要があります。
・本人確認を行った上で作成すること
・宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときは、その国籍及び旅券番号を記載すること
・作成の日から三年間保存すること
・宿泊者の氏名、住所、職業及び宿泊日を記載すること
しかし民泊の場合、室内にチェックインタブレットを設置しゲストにチェックイン作業を行って貰う必要があるが、
チェックインを行わないゲストが一定数おり問題になっている。